「追い越し」と「追い抜き」の違い、あなたは正確にご存じでしょうか?
道路交通法では、この似ている2つの用語それぞれに明確な定義が決められています。
しかし、普段その違いを意識して使い分けている人はほとんどいないのではないでしょうか? 普段車を使っていても、あまり言葉の意味を深く考えることは少ないですよね。
しかし、万が一の事故等のトラブルに合った後や、日常生活での事故回避のための知識として、この2つの用語の違いをおさえておくことはとても大切です。
そこで今回は、「追い越し」と「追い抜き」の違いをまとめて解説していき、違法になるケースや正しい追い越しの方法を解説していきます。
少しでもあやふやだなと感じる方はぜひ参考にしてくださいね。
恥ずかしながら「追い越し」と「追い抜き」の違いがよくわからないんだけど…
スタッフくん、教えてくれたりする??
2つは言葉も似ていますし、間違えやすいですよね…
では、追い越しと追い抜き2つの用語の意味や違いについて解説していきます☆
INDEX
「追い越し」とは?意味と定義・追い抜きとの違いを知る
- 追い越しとは「進路を変えて進行中の車の前方に出ること」
- 追い抜きとは「進路を変えないで進行中の車の前方に出ること」
とされています!
ここでは、「追い越し」「追い抜き」のそれぞれの意味について解説していきながら、この2つの意味の違いについてご紹介していきます。
追い越しとは?
追い越しとは、進路を変えて進行中の車の前方に出ることです。
2車線以上の道路で前を走行している車を抜かすために、右側の追い越し車線を使って抜き、元いた車線に戻ることです。
進路を変え右側を走行するのは慣習的なものではなく、道路交通法2条に規定されているものです。また、追い越しのやり方については、道路交通法28条に規定されています。
第二条
二十一 追越し 車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。
第二十八条
車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。
引用:道路交通法
また、28条には様々な例外が記載されています。
追い越しするための進路変更は、前の車との車間距離が確保するべき車間距離よりも短くなったときに始めなければなりません。
また、事前にウインカーを点け、後方確認をした後におこなう余裕が必要です。
追い越しの方法
追い越しは、前の車も自分の車もまっすぐ走っているときにおこなう通常の追い越しと、前の車が右折しようとしているときの追い越しに分かれます。
通常の追い越し方法
右車線に進路変更をした後、追い越す車両の右側を通り、前方に出たことを確認した後にもとの車線に戻ります。
追い越しをおこなう場合、前方の車の左側に間隔が大きく空いていてすり抜けが可能だとしても、左側から追い越すことは認められません。
右折車両の追い越し方法
前方の車が右折しようとしている場合に、その車を追い越す場合に限り、左に進路変更をして左側を通らなければなりません。
前方の車両は右折するために車線の左側によっているはずなので、左側にスペースが空きます。左側から前方に出て、進路をもとに戻します。
追い抜きとは?
追い抜きとは、進路を変えないで(車線変更をしないで)進行中の車の前方に出ることを指します。
つまり、車線変更をしなくても前の車を抜かすことができる状態で抜かすことは「追い抜き」になります。
ハンドルを切らずとも前方の車を抜かすことができるケースです。
日本では、自分が走行している車線の右側車線、左側車線のどちらの車を抜かしても道路交通法違反にはなりません。そのため、追い越しとは違って追い抜きでは特に法律の制限はありません。
障害物の側方通過とは?
自分の運転する車が停止している車を通過することを「障害物の側方通過」といいます。
また、車だけではなく、工事現場などを避ける場合にも障害物の側方通過と呼びます。
しかし、歩道と車道の区別のない道路で人の近くを走行するときに、間隔がほとんどない状態で抜かしたり通過したりするときには、「歩行者側方安全間隔不保持等違反」になる可能性があります。
第十八条
2 車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。
引用:道路交通法
追い越しと追い抜きの違いとは?
追い越しと追い抜きの違いを一言で表すと「隣の車線に移動して前方の車を抜くのが追い越しで、車線異動をせずに抜くのが追い抜き」になります。
こう見ると、あまりややこしく感じなくなってきたのではないでしょうか?
ただ、追い越しに関しては特に、注意点があります。知らず知らずのうちに違反運転をしていることもあるので、次に追い越しをするときの注意点や禁止ポイントについて見ていきましょう。
「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の注意点
追い越しは、基本的な意味以外にも、法律上注意しなければならないケースがたくさんあります。
珍しいケースもありますが、基本的な部分についてはしっかり知っておきましょうね☆
ここでは、追い越しをする際の注意点や禁止ポイントについて解説していきます。
「こういうときって抜かしていいんだっけ?」と運転中に交通ルールに少しでも不安を覚えたことのある人は、ぜひチェックしてみてくださいね。
追い越し禁止場所をチェックする
追い越しは、法律の通りにやるだけではなく、禁止場所ではやらないようにすることが大前提になります。
まずは、追い越し禁止場所に当てはまるのはどこかを整理しましょう。
- 道路標識で追い越し禁止の場所
- 道路の曲がり角付近
- 上り坂の頂上付近
- 勾配の急な下り坂
- トンネル(車両通行帯がない場所)
- 交差点と手前30m以内(優先道路はOK)
- 横断歩道・自転車横断帯の手前30m以内
1〜7では、追い越しをおこなうことが禁止されていますので、ムリな追い越しは絶対にやめましょう。
路端に車が「停車」しているときは法律上はみ出し通行OK
路肩に車が停車しているときに、その横を通り過ぎるのはまったく問題ありません。
たとえ、「追い越しのための右側部分はみ出し禁止」の区画であっても、停止している車を抜かすのは追い越しには当てはまらないからです。
路端に車が停まっているときなど、車が停止している場合に抜かしても「障害物の側方通過」にのみ該当します。そのため、追い越しにはならないのです。
つまり、追い越しのための右側部分はみ出し禁止区画だからといって、路端に停まっている車との距離をできる限り詰めて走行する必要はありません。
むしろ、そのほうが危険になってしまうので、余裕を持って側方を通過しましょう。
自転車が前方を走行しているのは法律上追い越しNG!
車ではなく自転車が前方を走行しているときのことをイメージしてみてください。
この場合、後ろを走っている自分としては、転倒してひいてしまうリスクがあるため、できるだけ早く抜かしてしまいたいですよね。
しかし、「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の区画では、自転車であっても車線変更をする追い越しは禁止になります。
しかし、車線を変更せず追い抜きをすることはできるので、後ろからできる限りゆっくり近づき、自転車が左端によってくれるのを待ってから追い抜くことが大切です。
車両通行帯が設けられていない道路で追い越しをする注意点
車両通行帯とは、同じ方向に通行する道路が2車線以上ある道路のことです。車両通行帯が設けられていない道路とは、自分が走行している車線の右側が反対車線である道路のことです。
この場合、追い越しで右側にはみ出すと対向車線を走る車とぶつかる危険があります。
そのため、車両通行帯が設けられていない道路では、追い越しが制限されていたり、条件がつけられています。
追い越す車両の右側に余裕があるケース
基本的には、車両は道路の左車線を通行する必要があります。
なので、道路の幅が広く、前方の車を追い越すために反対車線に出る必要がない場合には、同じ車線内で追い越しをしなければなりません。
また、道路左側部分(つまりあなたが走行している車線)の幅が6m以上のケースでは、必ず同一車線内で追い越しをしなければなりません。
なので、追い越しをするからといって、余分にスペースを取りすぎ、対向車線にはみ出すことがないように注意が必要です。
追い越す車両の右側に余裕がないケース
あなたが走行している車線の幅が6m未満で、同一車線内で追い越しができない場合には道路の右側部分にはみ出して追い越しをすることができます。
ただし、追い越す車から1m〜1.5mほどの必要最低限の幅で追い越しをする必要があります。加えて、反対車線の車の通行を妨害してはいけません。
「追越しのため右側部分はみ出し通行禁止」の標識がある区画では追い越しNG
「追越しのため右側部分はみ出し通行禁止」の道路標識や、道路標示(道路中央の黄色い中央線)のある場所では、右側にはみ出す追い越しは禁止されています。
この場合、どんな状況であれ右側にはみ出すことは禁止されているので、「やむを得ない事情」には当てはまらない点に注意が必要です。
車両通行帯が設けられている道路で追い越しをする注意点
車両通行帯が設けられている道路は、同じ方向に走行する車線が2つ以上ある道路のことを指します。
この場合、一番左の車線を走行しているときに、右側の車線を使って追い越しをするのが一般的ですよね。
道路交通法でも、車両通行帯が設けられている道路では右側車線を使って追い越しをすることが定められているので、ムリに同一車線内で追い越しをするのはNGです。
また、前方の車だけではなく、自転車であってもひとつ右の車線を通行しなければならない点に注意しましょう。
加えて、車両通行帯が設けられている道路でも「追い越し禁止」の道路標識や道路標示がある場合には、追い越しをしてはいけません。
その他の追い越し禁止:「二重追い越しの禁止」
前方の車が自動車やトロリーバスを追い越そうとしちているときに、あなたの車が追い越しを始めるのは禁止されていますので、注意が必要です。
ただし、自転車などの軽車両に当てはまる場合には、追い越し禁止にはなりません。
しかし、軽車両には自転車が含まれていますが、車椅子やシニアカーは含まれませんので、注意してください。
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